エムカワ〜るど 

だいたいナイロビ編 ガリッサ編 資料編

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Yさんの挑戦、シャンバ(畑)



半砂漠の、ガリッサの土地は痩せている。
必要なこと、それはまず土づくりだ。




豆科の早生樹種を使用し、土壌の肥沃化と日よけを作る。

パーキンソニア、ピルイピルを育て、土に鋤込む。

そうすることによって、少しでも土に養分を蓄えるようにする。

アグロフォレストリーという手法だそうだ。


アグロフォレストリーとは、多種多様な樹木を育て、その間でさまざまな作物の栽培や畜産を行う複合経営のことである。

林を切り払い、単一の商品作物を大量生産するプランテーション型の農業では、病虫害が起きやすく持続するのが難しい。

そこで、なるべく多彩な生物の生育を組み合わせ、持続可能な経営形態にすることなのである。







雑草をかき集め、堆肥を作っている。
乾燥すると発酵は進まない。

ビニルシートで覆い水分が蒸発しないようにしている。



さて、Yさんがガリッサに来て3ヶ月(11月〜)。
試行錯誤した事をここに記そう。


実験その1

はじめはただ植えただけだった。

結果、オクラスピナッシュが残った
コリアンダースクマウイキは種が悪かった。
小松菜ロケット(ルッコラ)は枯死。
スイカカボチャヘチマはマラリア(Yさんが)のため灌水できず枯死。


そうなんである。
Yさんはマラリアに罹ってしまい、植物の世話ができず、失敗してしまったんである。

雨の期待できないここでは、人間が継続的に水を与えなければならないのだ。


実験その2

ガリッサの環境条件は、乾燥している、光量が多すぎ、土壌が痩せている。
この3つである。

以上をふまえて、寒冷沙(ネット)による光量と水分蒸発をやわらげることを試みる。
光量は50%カットしてみた。
また、川土を搬入する。




   

川土を使うのは、川土のほうが養分を含んでいるからだ。
地表から流れた養分が低い川地に溜まるためだ。

川土の方が養分が多いといっても、あくまで相対的にであって、ちょっとだけなんである。
土地が痩せているのはどこでも同じで、使わないよりは有効だろう、くらいのレベルだ。


     
育苗箱も試してみる。
ロケットチンゲンサイコリアンダースクマウイキ、すべて発芽した。
チンゲンサイは結構強かった。


発芽すると鳥がやってきてつついてしまう(虫を狙って)。
葉ものは、虫対策が重要であることを痛感する。

ロケット(アブラナ科)は肥料分が少ないので成長が遅い。
葉が柔らかいので灌水を毎朝・夕(15時くらい)一回ずつ行う。
光量が多いので、葉が焼けてしまう。
日中に灌水すると光合成が早まるので植物はけっきょくひからびる。
葉が焼けて虫が入ってだめになった。
この土地に合わないのではないか。

チンゲンサイ、灌水をロケット同様に行った。
光に弱いわけではない。
途中、虫にやられて穴だらけになった。
新芽は大丈夫だった。6週間で日本の半分くらいに育った。土地に合ってはいるみたいだ。

スクマウイキ、葉が厚いので虫に食われにくい。
やっぱり土地が痩せすぎ。
キャベツに近いので高冷地(ナイロビなど)向きの野菜。
ポットで育苗し、定植してみる。

コリアンダー、6週間で通常20センチくらいになるが、6週間で5センチになったとき花が咲いてしまった。
先祖返り?
環境が厳しい。


液肥

雑草とニンニクを水の中で1ヶ月腐らせたもの(日本だと2ヶ月)。
液肥をかけると元気になり、虫がつかなくなった。

いまだ、これら野菜を食べられるようになるには至らず。
         


実験その3 (経験を踏まえて、いまやっていること)

豆科の早生樹種を使用し、土壌の肥沃化と、日陰を作る。
トマト、育苗して定植。
堆肥を使う。


ミコノの土地には、もうひとつ畑がある。
修理工場の近くの畑はトウモロコシが元気に育っている。
水を多く与えているからだ。


「なんだ、水を与えればいいんだ」というのが結論ではない。

基本的に雨が降らない土地なんである。

ガリッサに雨の続いた時期があった。
あたりはまぶしいばかりの緑一色、役満なのだった。
しかし、それはきわめて特殊な状態なんである。

大切なのは、いかに環境に適した農法を見つけるかということだ。


ミコノで購入したマンゴの苗。
果たしてうまく育つだろうか。
      


かつて、ガリッサにEMを持ち込んだ男がいた。
しかし、最後にはEM原液のビンを投げ捨て、ガリッサを去っていった。

EMは大量の水を必要とするため、慢性的水不足のガリッサには適さなかったのだ。
            


蛇足だが付け足しておく。

ガリッサは遊牧民の住む土地である。
なぜ、遊牧生活をするのか、それは定地型農業をするにはあまりに過酷な土地だから。
家畜の飼料を求め、雨季・乾季により移動することが、環境に適応した生活だったのである。

遊牧より定着し農業をするほうが進んでいる。
漠然とした、そんな考えがあるだろう。
しかし、環境を無視した定住などあり得ないのである。

どこかの企業が、原住民の焼畑を止めさせ、定地型農業をやらせるプロジェクトをすすめているが、環境破壊の元凶たる利益優先の商業主義を見直そうともせず、有史以来続いてきたであろう焼畑を止めさせるのは、あまりに身勝手だと思う。

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